堕ちた女体と
華やかな晩餐
第二章
4



「ねえねえ……、千尋ちゃんって、処女だよね?」
 突然、亜希が、突拍子もないことを訊いてきた。いや、今の千尋の姿からすれば、むしろ、当然とも言えるような質問なのかもしれないが。
 加納は手を止め、下から無言の圧力を掛けてくる。
「処女です」
 千尋は、端的に言った。それは本当だった。
「そうだよねえ……。千尋ちゃんから、彼氏ができたって話、聞いたことないもん。そんなに可愛いのに……。理想が高いのかな? あ、いや、それとも……」
 亜希は、疑うような目つきになり、千尋を斜めに見ている。
「わたしには内緒にしてたのかな……? その可能性があるから、ちゃんと調べないといけないねえ。……加納さん、千尋ちゃんが言ってることが、本当かどうか、確かめてみてくれる?」
「了解しました」
 千尋は、すぐには、亜希の発言の意味が呑み込めないでいた。しかし、ほどなくして、体中からさっと血の気が引いた。
 そんな……。うそでしょう。

「両脚を開け」
 加納は、言葉少なに命じた。千尋の人権など、一顧だにしていない口調だった。
 これまで、加納の脅威に圧倒され、言いなりになってきたが、さすがに今度ばかりは従えない。精神と肉体が、激しく拒絶している。
「とっとと開くんだよ!」
 加納は、怒号を上げた。
 悪魔……。
 千尋は、その言葉を、足もとから睨みつけてくる加納に対してではなく、ソファでアイスティーを啜りながら、成り行きを面白おかしそうに見ている、亜希の顔に当て嵌めた。
「いやです……。できません」
 消え入るような声だったが、千尋は、勇を鼓して拒否した。
「はあ!?」
 聞き捨てならないというふうに、加納が威嚇の声を出す。
 その直後、加納の手が、勢いよく千尋の太ももを打った。千尋は、衝撃と激痛に飛び上がりそうになった。
「お嬢さまの命令なんだよ! どんなことでも従うの!」
 さらに、同じところを、もう一発強打される。
 千尋の意志は、非道な暴力によって、へし折られてしまった。千尋は、恐怖に衝き動かされ、そろそろと両足を外側へと開いていく。叩かれたところは熱を持ち、びりびりと痛んでいた。
「のろのろしてんじゃないよ、まったく」
 加納は、苛立った手つきで、両脚の太ももの内側に手を宛がい、こじ開けるようにして千尋を開脚させた。
 自分の取っている体勢を、頭で客観的に認識した瞬間、千尋は、奈落の底に落とされたような気分を味わった。うそ、ひどい……。なんて惨めな格好なの。惨めすぎる……。
 
 身を焼かれるような恥辱に、膝が震え始める。だが、ショックに打ちひしがれる余裕さえなく、加納の両手が、剥き出しの股間へと伸びてくる。両手の親指が、陰唇に食い込んで、ぱっくりと陰裂が開かれた。
 加納は、千尋の股の下のスペースに顔を潜り込ませると、覗き込むようにして性器を調べ始めた。
 鮮やかな色の粘膜まで露出した性器は、当然、亜希にも見られている。今、亜希の表情には、卑猥な好奇心が、露骨に表れていた。
 陰唇の中を這っていた加納の指先が、膣口のそばに移ったのを感じた。膣口が、じわじわと広げられていく。
 千尋は、すさまじい恐怖に襲われて、ほとんど半狂乱に叫んだ。
「やめて、やめて、やめて下さい! 痛いんです!」
 実際に痛みを感じたわけではないが、加納という女の非情さ、野蛮さからすると、膣に指を突っ込んできても不思議ではなかった。処女膜を傷つけられるのではないかと、恐怖を感じたのだ。
「嘘を言うんじゃないよ! ただ調べてるだけでしょう。適当なこと言ってると、本当に痛い思いをすることになるからね」
 加納に怖ろしい恫喝をされ、千尋は、もうそれ以上、抗議することはできなくなった。



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