堕ちた女体と
華やかな晩餐
第六章
3



 すでに、千尋の体はテーブルにくっついている。しかし加納は、少しも手を休めずに千尋のおしりを押してくる。そのせいで腹部がこすれて痛い。
 いや……。千尋は、そこで気づいた。加納は、前に押しているのではない。下から押し上げているのだ。
 亜希が、中指でとんとんとテーブルの上を叩いた。
「千尋ちゃん、上がってよ早く。トイレは、ここにあるでしょう?」
 亜希の顔に、みるみると悪意に満ちた笑みが浮かんでいく。昨夜、ベッドから身を乗り出し、千尋の乳房をつかんだ時に見せた、あの、悪魔のように怖ろしい笑みがオーバーラップする。
 
 逆らうことはできない。だが、どうしてそんなことができようか。千尋は、泣きそうになっていた。すでに頬や唇はぴくぴくと震えていたが、必死になって涙を堪える。  なおも、加納は、テーブルに乗らない千尋に対し、腹立った手つきで、ぐいぐいとおしりを突き上げてくる。その凄い力に、千尋の両足が、何度か浮き上がった。だが、その度に千尋は、ほとんど反射的に、体を持ち上げられまいとして、テーブルをつかむ両手に力を込め、踏ん張っていた。
 二人のせめぎ合いに、がたがたとテーブルが揺れている。
 地獄……。この世の地獄だった。



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