堕ちた女体と
華やかな晩餐
第七章
4



 解放された安堵と共に、千尋は、自分が自分ではなくなっていくような虚脱感に襲われた。ぐったりとしたまま、亜希の挙動を、見るともなしに視界に捉えていた。
 亜希の目つきは、酒のせいか、とろんとしている。
 とても信じられなかった。亜希の手で、こんなことをされるなんて。
「えへっ、へっへっ……。野菜が、変な汁でぬるぬるしてるぅ……。はい、千尋ちゃん。味つけしてあげたんだから、これ食べて」
 放心状態の千尋の唇の内側へと、それがねじ込まれた。
 千尋は、口を動かすことすらできず、前菜の味とともに、奇妙な酸っぱさが口の中に広がっていくのを、ただ感じていた。
「どーう? おいしい? 自分のま○この汁で、たっぷり味つけした野菜は」
 頬杖をした亜希が、にたにたと笑いながら訊いた。
 千尋は、力無く首を横に振った。
「おいしいです、だって、千尋ちゃんったら……。ねえねえ、朱美ちゃんも、千尋ちゃんに、何か食べさせてあげたら? 自分のま○この調味料が、よっぽど気に入ったらしいからぁ」
 地獄に落ちろ、この腐った小娘……。
「えっ……? へへっ……?」
 戸惑ったのか、朱美は低く笑い、はにかむような表情を見せた。
 三人が、視線を交わしているような間があった。
 元から性格の悪そうな朱美のことだ。やめてください、と訴えたところで、聞き入れられるとは思わなかった。
 
 案の定、朱美もまた、食べ物を指でつまんだ。チーズをサーモンで巻いた、一口サイズのつまみだ。そして身を乗り出し、ためらいがちな素振りを見せながらも、千尋の股を覗き込む。
「やっだあ、女体……。変な汁、こんなに垂らしてたんだあ。変態じゃーん、きもーい。あんた、仕事中でしょう?」
 じゅくじゅくとした陰唇に、つまみが押しつけられる。太ももやふくらはぎの筋肉が、反射的に突っ張り、足の指をきつく折り込んでいた。
 しかし、亜希とは違って、朱美は、やたらと性感帯を刺激するようなことはしなかった。愛液をすくい取るように、肉の割れ目を、つまみで何度か撫で上げる。
 ところが、その代わり、性器の下の器官、つまり肛門にまで手を出してきた。
「女体が……、おしりをちゃんと拭いてなかったの、さっき、見ちゃったんだよねえ……」
 朱美は、不潔さに対する嫌悪感に眉をしかめながらも、口もとは、薄笑いで歪んでいた。おしりの肉の奥にねじ込むようにして、窄まった穴に、食べ物をこすり付けてくる。
 こいつ……。こいつも……、信じられないくらい腐ってる……。
 固形チーズを、ぐりぐりと肛門に押し付けられる汚辱感に、千尋は、全身に鳥肌が立つ思いだった。



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