バレー部キャプテンと
よこしまな少女たち
第六章〜穢れなき罪人
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 卑猥で汚らしく、臭くて下品。思春期の女として、あまりにも無様な、南涼子。ひとりだけ全裸になり、剥き出しのおしりをさらし、剛毛に包まれた性器を覗かせている有様とは、そういうものなのだった。
「うっ! えぇっ……?」
 びくっと涼子の背中が反り返り、意味不明な声が漏れた。背中の筋肉を左右に割る、艶めかしい窪みの線に、香織が人差し指で触れた瞬間のことだった。
 香織は、人差し指をじりじりと下げていく。
「いやっ、やめてっ……」
 涼子から、またしても無力な声が発せられた。いや、とか、やめて、と口にしたところで、香織が躊躇や遠慮などするはずのないことは、涼子自身も頭では理解しているはずなのだ。それでも、耐えがたい性的な恐怖感が、彼女にそんな言葉を出させている。
 隣にいる石野さゆりは、万策尽き果てた涼子の絶望を帯びたその声を聞いて、にたにたと口端を曲げていた。

 香織は、後輩と目が合うと、見てなさいよ、と合図を送った。背中に走る縦の窪みは、腰骨のあたりで終わっている。だが、そのまま南下すれば、おしりの割れ目に辿り着く。
 香織の指先が、浅黒い臀部の割れ目をなぞりだした時、涼子の肉体は、恥辱に悶えて弓なりになり、伸びをしているみたいに踵が地面から浮いていた。
 まさに、絶景。
「やっ……、もうっ! ほんとやめてよっ!」
 やや声音が震えていたが、地響きのするような凄まじい絶叫が轟いた。涼子が、激しく肩を横に揺すりながら、香織の辱めから逃れようとする。またしても誓いの言葉を破り、暴力による抵抗を始めたのだ。
 ほとんど体当たりの衝撃に、両腕を絡み付かせていた竹内明日香は、甲高い悲鳴を上げて後ろによろめいた。
 涼子は、両手で恥部を覆った不自由な体勢でありながら、持ち前のパワーで、明日香の拘束を振りほどいていた。今は、肩を上下させながら荒い呼吸を繰り返している。もう我慢できない、という強烈な感情が、その裸の背中から、湯気のように立ち上っているように思われた。



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