バレー部キャプテンと
よこしまな少女たち
第十一章〜間隙
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 そこに行き着くと、さゆりにおしりを向け、香織を見下ろす形で、涼子は、体操着をまたいで立った。
 すぐに、この場で静止していること自体、耐え難いと知る。肩幅ほどに開いた両脚が、立っているのもままならないくらい、わなわなと震え始めていた。
 
 太ももの内側に、ひんやりとした布地の感触が走り、ぞっとして下半身の筋肉がこわばる。もうすぐ、この体操着が、剥き出しの性器へと突き当てられるのだ。それを思うと、胃の中のものを吐き出しそうだった。涼子の震える裸体、精神の限界をさまよう有様を、少女たちは、好奇の目で眺めている。
 
 さながら、中世欧州で蔓延った、異端審問や魔女狩りにおける拷問のごとき様相を呈していた。今、涼子の胸の内にあるのは、拷問台に乗せられる女たちのそれにも似た、恐怖や絶望、そして悲しみなのだった。
 わたしは、まともな人間として、この教室を出ることは、できるのだろうか……。

「そこまで硬くならないでよ、南さん……。この目的は、滝沢さんと仲良くなることなんだから、まずはリラックスして、ちゃんと心を開かないとダメでしょっ……。ほらっ、緊張しなーい」
 香織は、愉悦にどっぷり浸っている様子で、涼子の裸出した肩といわず胸もとといわず、ぺたぺたと触れ始めた。
「そうですよー、せんぱーい。力を抜いてくださいよ……。あっ、すごい筋肉……。もしかして、筋肉付けすぎちゃったせいで、どうしても体に力が入って、リラックスできないとか?」
 あろうことか、後ろの後輩は、鍛え上げられた涼子の太ももを鷲づかみにし、その手応えを確かめているのだった。
 涼子は、裸体の最低限を隠した格好で背中を丸め、悶絶するような嫌悪感に耐え続ける。まさに、恥に塗れるだけの肉塊。少女たちの異常な嗜虐心を満たすためだけにある肉塊。



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