バレー部キャプテンと
よこしまな少女たち
第十二章〜慟哭
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「りょーちん、ホントは、ま○こ気持ちいいんでしょ」
 明日香が、じっとこちらを見つめている。
 涼子は、目を逸らし、無視を決め込むことにした。
 しかし、明日香のひんやりとした細い指先に、乳房をそっと撫でられると、ぞわぞわと悪寒が走った。体の下のほうでは恥部をなぶられているが、直に手で触れられるというのは、本質的に感覚が異なる。
「シカトすんなよぉー。あたしたちぃ、トモダチでしょー? おいっ、おいっ」
 明日香は、悪気のないような仕草で、乳房をぷにぷにとつつき始めた。
 くそ……。歯を食いしばって嫌悪感に耐える涼子の様子に、明日香は、あの笛の音のような声で笑った。
 
 そして、ふいに、無防備に晒していた乳首に、明日香の人差し指が、ぴたっと当てられた。涼子は、ぎょっとして息を呑んだ。
「おーい……」
 明日香は、涼子の乳首に向かって呼びかけるようにしながら、その人差し指を押し込みだしたのだった。
 涼子の乳房は、極上の量感と柔らかさを呈し、吸い込まれるように乳首が肉の中に埋もれていく。性感帯の突起に加えられる、やるせない刺激が、体中を駆け巡っていた。
 五臓六腑が煮えくり返るような恥辱と憤怒。もう耐えられない。爆発寸前のその時、涼子は、雄叫びにも似た唸り声を上げていた。
「いい加減にしてよ! この変態!」
 激しい怒号と共に、全力で右腕を振り払うと、明日香の軽い体は、一溜まりもなく吹っ飛んだ。派手な音を立てて、近くの机にぶつかる。きゃっ、という、いかにも女子高生らしい、甲高い悲鳴が上がった。
 
 しまった、と涼子は密かに思う。手加減というものを、完全に忘れていた。むろん、実力行使に出て問題がないのなら、顔が腫れ上がるほど殴ったとしても、生ぬるい。しかし、今、そういった手段を取ったとしたら、その先に待っているのは、高校生活、いや、人生の暗転なのだ。

「可哀想……、明日香……。サイテーだね、暴力振るうなんて」
 香織が言うが、その口調には、さっきまでの余裕がない。きっと、小心者の香織は、策略によって封じ込めたはずの涼子のパワーを、目の前で見せつけられ、にわかに不安を感じ始めたのだろう。体操着を操る手も、止まっている。



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