バレー部キャプテンと
よこしまな少女たち
第十二章〜慟哭
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「えっ……。南せんぱい、なに、これ……。あっ! 待って、待って、やだぁ!」
突然、驚愕に満ちた後輩の声。その一言一句に、心臓が跳ね上がる。
嫌な間が空いた。
涼子は、呆けたように口を半開きにして固まっていた。次に、後ろの後輩が、何を言うだろうと、死刑宣告を受けるかのような恐怖に縛られる。
「い、糸引いてる……! これ、マン汁……! せんぱいが、マン汁垂らしてるぅ!」
さゆりの発する卑猥な言葉が、耳に飛び込んできた瞬間、焦点が合わなくなり、視界がぐにゃりと歪んだ。
「えっへぇ? うっそぉ?」
明日香が、間の抜けた声を出すと、半信半疑の様子で首を伸ばし、涼子の臀部側から股間を覗き込もうとする。
危機を察知した瞬間、涼子は、半ば反射的に体を動かしていた。拘束の緩んだ右腕を抜き、明日香と対面するように、体の向きを変える。両手で恥部を覆い、ぎゅっと股を閉じる。
明日香は、一瞬、あっけに取られた仕草を見せたが、案の定、すぐに怒髪天を衝いた。
「なぁーに、逃げてんだよぉっ! 手ぇどかしてっ、あしぃ、ひらいてっ、ま○こ見せんだよっ!」
たまらず耳を塞ぎたくなるような物言いである。
ひどい……。ひどすぎる……。こんな女に、性器が濡れているところを見られたら、いったい、わたしの人生はどうなってしまうのだろう。
涼子は、泣き顔になって、首を横に振り続けていた。
その時、香織が、意外なほど落ち着いた声で言った。
「さゆりっ……。シャツ、手、放して」
体操着が床に落ちると、香織は、それを自分のほうへ引いた。涼子の両足の間を、するりと抜けていく。
明日香とさゆりも歩み寄り、検分するべき『物証』を見下ろした。
うそ……。待って……。それは、やめて……。
眼前に差し迫った現実から逃避するかのように、涼子の脚は、じりじりと後ずさりしだした。
香織が、慎重な手つきで、体操着の両袖の部分をつまみ、顔の高さまで持ち上げる。そのとたん、少女たちが、一斉に悲鳴じみた声を発した。
一拍遅れて、むせ返るような臭気が漂っていることを、涼子は知覚する。少女たちのその反応も、むべなるかなと思わされる。
意識が遠のき、裸の体がぐらりと揺れた。
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