バレー部キャプテンと
よこしまな少女たち
第十九章
しんしんと
9



 夜は、しんしんと深まる。
 吉永香織は、勉強机に向かって、沈思黙考していた。机の上に、教科書やノートの類など、はなっから広げていない。むろん、頭の中を占めているのは、南涼子のことだった。
 バレー部の練習場という衆人環視の場で、涼子を、徹底的に辱めてから、丸二日が経っている。
 
 二日前のあの日、涼子が、最後まで自分の脚で立っていられるかどうかを、見届けることなく、香織たちは、学校を出た。その一時間半ほど後に、バレー部の練習を終えた竹内明日香から、電話があった。香織は、まず、涼子の安否を尋ねた。涼子は、無事だった。ゲームの終了まで、一、バレーボール選手として、コート上で踏ん張りきったという。しかも、涼子の粘り強い奮闘のおかげもあって、明日香の言いつけどおり、三年生チームは、二年生側には屈せず、一セット目、二セット目と、続けて勝利を収めたらしい。香織は、その報告を受け、心底ほっとすると同時に、涼子の精神と肉体の屈強さを、拍手で褒め称えたい気分になった。南さん、あんたは、やっぱりただ者じゃないね。あたしみたいな平凡な女の子とは、次元の違う生き物って感じ。かっこいい。サイコー! 香織は、そして感謝した。ありがとう、南さん。……これで、まだまだ、あんたをオモチャにして遊べる。



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