花盛りの被験体
第三章
5



 ねっとりとした液体を排出し続ける女の穴。
 それは、奈々子が性的な快感を感じていたことを如実に物語っていた。大学の保健室という場所で、同い年の女子学生が見るには、あまりにも淫らな代物である。
 
 由美は、スプーンを手にしたまま、最後の一線を越えられないでいた。業を煮やした水穂が、容赦のない脅しを掛けた。
「村野さん。できないのなら、あなたの体から粘液を採取してもいいのよ。でも、処女の子の場合は、痛い思いをするでしょうねえ」
 ぴくりと由美の頬が引きつり、じりじりと手が動きだす。スプーンの丸い先端が、奈々子の膣口に宛がわれた。
「この子は、うぶな体じゃないんだから、ちょっとくらい乱暴に入れたって平気よ。……さあ、そのスプーンを、ゆっくりと押し込んでみるの」
 由美の顔に、苦い決意のようなものが走った。もはや、由美の口からも、ごめんね、という言葉は出てこない。その直後、奈々子の膣口が見るも無惨に横に広がり、スプーンの先端が徐々に穴に埋もれていった。

「ううぁ……あっ……」
 奈々子が呻き声を漏らし、その肉感的な下半身が、逃げるように遠ざかろうとする。
「ほらっ。じっとしてなさいよ」
 水穂が、奈々子の腰をすかさず両手で捕らえ、由美の持つスプーンの皿状の部分は、膣壁にすっかりと咥え込まれた。と同時に、由美が、慌てたようにスプーンを手放した。柄の部分に伝わる膣の感触に、耐えられなくなったらしい。
 今、奈々子のおしりが、苦悶のため、前後左右にせわしなく動いている。そのせいで、小振りの尻尾よろしく股間から伸びた、スプーンの柄の部分が、おいでおいでをするかのように揺れているのだった。
 なんともおぞましい光景であるが、由美は、目を見開いてそれを直視していた。そして、静かに手を伸ばし、スプーンをつかむ。もう引き返せないのならば、親友の苦痛の時間を、一秒でも早く終わらせようと心に決めたかのように。

「ああっ! ああぅ……」
 奈々子は、背中を弓なりに反り返していた。膣の中を異物でこすられ、体内の奥底まで響く鈍痛と、女としての体を蹂躙される悲しみとが、ない交ぜになって襲ってくる。
 なぜ、こんな苦しみを、大学で味わわなくてはならないのか。いったい、なんで……。にわかに、せきを切ったように感情がほとばしり、目から涙が溢れ出る。
「お願い、由美……。もうやめて」
 嗚咽を漏らしながら、奈々子は、最後の思いで哀願した。
 しかし、由美の返事はない。
 
 スプーンの皿には、泡立った透明な液体が溜まっている。由美は、ビニールの袋を一つ手に取ると、スプーンで掻き出した奈々子の愛液を、どろりと流し込んだ。
 一人分の粘液を保存し終わった由美は、間を置かずに奈々子の陰裂を開くと、露わになった膣口に、ためらう素振りを見せずにスプーンを突っ込んだ。
 その瞬間、奈々子の全身が、びくりと跳ね上がった。一拍置いて、奈々子は、吠えるような野太い泣き声を上げ、とうとう上体を崩して両腕を組み、そこに顔を埋めた。それからしばらく、彼女の籠もった泣き声が、両腕と顔の隙間から漏れ続けていた。



次へ

目次
小説タイトル一覧
メニュー
トップページ

PC用のページはこちら

Copyright (C) since 2008 同性残酷記 All Rights Reserved.