バレー部キャプテンと
よこしまな少女たち
第八章〜密室
7



 香織が、微苦笑に口元を歪めた表情で、涼子の身に着けている最後のものを、下腹部から引き下ろしていき、やがて、脚から抜き取られる。
 パンツを脱がされた瞬間から、生きた心地がしなくなる。人間としての最低限のラインを下回った状態。まるで、全身が、恥の塊と化してしまったような感覚なのだった。
 一方、悪意の塊である香織が、さゆりと明日香の手に涼子の下着を持たせ、それぞれが卑しい笑い声を立てる。
 この日も、彼女たちの勝利が確定したのだった。敗北者の涼子は、例のスタイル、重ね合わせた両手で恥部だけを押さえた、非現実的な格好で立たされている。

「ねえねえ、南さん。悔しい? 恥ずかしい?」
 涼子の体からすべてを剥ぎ取ったとたん、香織の仕草の一つ一つには、嬉しくて堪らないという内面が、露骨に表れていた。
 心のない悪魔……。なんで、あんたみたいなのが、この普通の高校に入ってきてんのよ……。
 当然ながら涼子が答えないでいると、香織は、隣の友人たちのほうを向いて、すかした表情を作った。
「さっきの、南さんの真似……。勝手に言ってろよっ、もう脱ぐわけないでしょっ!」
 さゆりと明日香が、腹を抱えて爆笑する。
 やり場のない怒りが、全身を駆け巡る。暴力的な衝動を帯びた力が、涼子の不自由な両腕をこわばらせていた。
 目の前の三人に躍りかかり、一人ずつ順番に体を押さえつけ、泣き叫んでも容赦せずにボコボコに殴り続けるシチュエーションが、脳裏に浮かぶ。しかし、それは、虚しい願望の空想でしかなかった。



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