バレー部キャプテンと
よこしまな少女たち
第九章〜肉塊
2
こいつら、いかれてる……。涼子は、ようやく、三人の言わんとしていることを呑み込んだ。
視界が歪む。立ち眩みを起こしたのかもしれない。
今、涼子の心と体には『穴』が空いている。香織はそこをほじくってきたのだ。
「ボディチェックの際に、脚を開かせて調べてみよっか? もしかすっと、毛がべたついてるかもしんないし」
「うーん……。なんか、ちょっと見てみたいような気も……」
およそ同じ学校の女子生徒とは思えない、香織とさゆりの発言。
「りょーちぃん。いつもは、どんなふうにオナニーしてんのぉ?」
今度は、明日香の口から発せられた理解不能な問いかけが、耳に飛び込んできた。
涼子は、呆気にとられて彼女を見やった。
明日香は机に腰かけ、色白の脚をぶらぶらさせている。じっと涼子を見つめていたが、ふと微笑して、やんわり小首を傾げた。
「家では、どうやってオナニーしてるのかぁ……、おし・え・てっ」
親友同士のお喋りのような調子で、明日香は訊いてくる。
涼子は、しばし茫然としていたが、頭の隅がかっと熱くなるのを感じた。
「してないっ!」
吐き捨てるようにして、涼子は言った。
「んんー……? ホントかなぁ……。嘘はいけないよぉ、りょーちぃーん」
明日香は、胡乱な目つきで涼子を眺めている。
「うそうそ」
さゆりが、意地の悪い突っ込みを入れる。
「なに大嘘こいてんの、南さん……。あんた、今さら恥ずかしがって、エッチなことはしてませんとか嘘つく必要ないでしょ。バッカみたい」
やはり香織の攻撃性は、三人の中でも段違いである。
涼子には、怒りを燃やす気力すらなかった。あるのは、気が触れそうなほどの恥ずかしさと、先の見えない恐怖感だけである。
もうやめてください……。体育倉庫の地下で、情けなくも哀願したように、またしても不本意な敬語が喉の奥まで出かかっていた。
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